茶道用語

柚肌(ゆずはだ)
器物の肌合の一。表面が柚子の表皮を思わせるような感じになっているものをいう。陶磁器、、塗物などにある。陶磁器においては、釉肌の表面に針で突ついたような小さな孔が一面にできたものをいい、本来は釉薬の溶け具合が良好でない欠陥であるが、その景色を茶人が好んだもので、志野焼などでは特徴となっている。 釜においては、地肌が柚の皮のように、でこぼこしざらつきのあるものをいい、砂肌の技法に含まれ、丸釜・平丸釜によく使用される。塗物では、絞漆と言われる粘着物を混合した漆を塗り、タンポンで軽く叩いて仕上げ、別名叩き塗りともいうという。

湯相(ゆそう)
湯の沸きかげんのこと。「ゆあい」ともいう。『南方録』に「一座一会の心、只この火相・湯相のみなり。」とあり、茶の湯では湯を沸かすための火の興り具合(火相)、湯の沸き具合(湯相)に特に気を配らなければならないとされ、抹茶ことに濃茶を立てるのに適当な温度は、茶の味や香りを損じやすい沸騰の頂点ではなく、それを過ぎて、少し下り坂の煮え加減の時、あるいは沸騰の一歩手前の時で、この時の釜の煮え音を「松風」という。茶事においては、この湯相が最も適当な「松風」の時に濃茶点前ができるように、炭の加減(火相)が考えられ、炭点前が決められている。千利休は湯相を「蚯音(きゅうおん)」「蟹眼(かいがん)」「連珠(れんじゅ)」「魚目(ぎょもく)」「松風(しょうふう)」の五つに分けて「松風」をよしとしたとされる。『茶経』に「其沸、如魚目、微有聲、爲一沸、縁邊如湧泉連珠、爲二沸、騰波鼓浪、爲三沸、已上、水老、不可食也。」(其の沸くこと、魚目の如し、微かに声あり、一沸となす。縁辺に湧泉の連珠の如し、二沸となす。波騰がり浪鼓つ、三沸となす、已上は、水老けて、食べるべからざるなり。)、唐の劉禹錫(772〜842)の詩『西山蘭若試茶歌』に「驟雨松聲入鼎來、白雲滿〓(上宛-宀下皿)花俳徊」(驟雨松声鼎に入って来たり、白雲碗に満ちて花徘徊す。)、宋の蘇軾(1036〜1101)の煕寧5年(1072)の詩『試院煎茶』に「蟹眼已過魚目生 〓(風叟)〓(風叟)欲作松風鳴」(蟹眼すでに過ぎ魚目生ず、シウシウとして松風の鳴をなさんと欲す)とみえる。「蚯音(きゅうおん)」はミミズの泣く音とされ、「蟹眼(かいがん)」はカニの目のような小さな泡がたつ状態、「連珠(れんじゅ)」は湧き水のように泡が連なって湧き上がる状態、「魚目(ぎょもく)」は魚の眼のような大さな泡がたつ状態、「松風(しょうふう)」は松籟(しょうらい)とも言い、釜がシュンシュンと鳴る音を表現したもの。沸きすぎると水が「老け」茶に適さないとされ「水老」もしくは「死水」と呼ばれる。

  
  
  
  
  
 

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