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袴腰緞子(はかまごしどんす) |
名物裂の一。台形の紋様が連続して連なった紋様を織り出した緞子。浅葱地に赤で織り出したものと、樺茶地に黄または淡茶で織り出したものがある。台形の紋様を袴の腰板に見立てた名という。 |
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白極緞子(はくぎょくどんす) |
名物裂の一。萌黄地で、白糸で鳥襷を織り出した緞子。二羽の尾長鳥の丸紋を互の目に配し、宝尽し紋を散らしてある。足利義政(1436〜1490)が寵愛した鼓の名手白極太夫の所有によるという。大名物「国司茄子」、中興名物「富士山肩衝」などの仕服に用いられている。『古今名物類聚』には「地合うすき方。地紋分銅つなき。たき風鳥宝尽し」とあり、襷紋を分銅繋ぎ紋、丸紋を抱き鳳凰紋とみている。
類裂が多く、色替りの「下妻緞子」などがある。 |
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半蔀銀襴(はじとみぎんらん) |
名物裂の一。萌黄地に、銀糸で花と蔓唐草を織り出したもの。 |
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半蔀緞子(はじとみどんす) |
名物裂の一。縹地に、浅葱で花唐草を織り出した緞子。 |
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八左衛門間道(はちざえもん
かんとう) |
名物裂の一。縹地に、白の細い縞で小格子に織り出した間道。大槻八左衛門道伯の所持に因む名という。中興名物「真如堂」の仕服に用いられる。『古今名物類聚』所載。 |
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花兎金襴(はなうさぎきんらん) |
名物裂の一。縹色の作土紋の中に花朶紋と土坡の上に振り向いた兎を織り出した金襴。類裂は多く、一般に小柄なものを花兎金襴、大柄のものを角倉金襴と称している。大名物「油屋肩衝」「日野肩衝」の仕服に用いられる。『古今名物類聚』所載の裂は花朶紋が土坡から遊離している。類裂に「花麒麟金襴」「雲麒麟金襴」がある。 |
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花麒麟金襴(はなきりんきんらん) |
名物裂の一。白、紫、萌黄、縹色などの経三枚綾地に、平金糸で麒麟を織り出した金襴。段違いに向きを違えている。中興名物「宮城野」の仕服に用いられる。類裂に「花兎金襴」「雲麒麟金襴」がある。 |
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針屋金襴(はりやきんらん) |
名物裂の一。白または白茶の五枚繻子地に、金糸で大小の鱗紋を組合せて並べた金襴。千利休の弟子、針屋宗春の所持とも「針屋肩衝茶入」の仕服に用いられたともいう。中興名物「豊後口広」の仕服に用いられる。同系に萌黄地の井筒屋金襴、花色地の権太夫銀襴などがある。『古今名物類聚』所載。 |
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東山金襴(ひがしやまきんらん) |
名物裂の一。三枚綾地や五枚繻子地に、金糸で一重蔓や二重蔓の牡丹唐草紋を織り出した金襴。地色や唐草紋の違いにより、それぞれ別称があり、萌黄地に一重蔓小牡丹唐草紋を「南禅寺金襴」、白地にニ重蔓中牡丹唐草紋を「本願寺金襴」、縹や紺地を「高台寺金襴」などと称する。『古今名物類聚』所載。 |
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一重蔓牡丹唐草金襴(ひとえづるぼたんからくさきんらん) |
名物裂の一。金糸で牡丹花と一重の蔓に葉を配した唐草紋を織り出した金襴。牡丹は富貴の象徴、蔓をもつ唐草は生命力が強く、長寿、子孫繁栄の象徴とされ2つを組み合わせたこの牡丹唐草紋様は、古くから吉祥紋とされる。牡丹紋の大きさにより、大牡丹、中牡丹、小牡丹とあり、時代が下がるほど牡丹紋が小さくなるという。 |
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日野間道(ひのかんとう) |
名物裂の一。経に麻糸、緯に絹糸を用いた薄茶の紗地に、赤・薄紅色の太縞と、白・黄・黒の細縞を真田組織にして横縞を織り出した間道。横縞がよろけて波打っている。日野肩衝茶入の仕服に用いられたことに因んだ名とも、権大納言日野輝資の所持に因む名ともいう。 |
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姫路間道(ひめじ
かんとう) |
名物裂の一。赤地に、白い小格子と黒い大格子を織り分け、間に真田を打ち込んだ間道。「ひめろかんとう」とも読む。『古今名物類聚』には「ひめろ」とある。 |
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姫松金襴(ひめまつきんらん) |
名物裂の一。白の経五枚繻子地に、金糸で互の目に蝶を織り出した金襴。 |
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藤代金襴(ふじしろきんらん) |
名物裂の一。萌黄地に、金糸で梅鉢と分銅を織り出した金襴。 |
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藤種緞子(ふじだねどんす) |
名物裂の一。縹地または萌黄の五枚繻子地に、茶色の緯糸で三重襷万字地紋に蘂の出た剣先梅鉢紋を互の目に織り出した緞子。藤種家の所伝に因んでの名という。藤谷緞子とも称する。大名物「利休丸壺」の仕服に用いられる。『古今名物類聚』所載。 |
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藤原金襴(ふじわらきんらん) |
名物裂の一。紫地に、金糸で折入菱地紋と龍丸紋を織り出した金襴。 |
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藤原緞子(ふじわらどんす) |
名物裂の一。薄萌黄地に、浅葱で下り藤に牡丹を織り出した緞子。近衛殿裂ともいう。 |
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二重蔓金襴(ふたえづるきんらん) |
名物裂の一。『古今名物類聚』所載。 |
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二人静金襴(ふたりしずかきんらん) |
名物裂の一。濃紫地に、金糸で向かい合った二羽の鳳凰の丸紋を互の目に織り出した金襴。足利義政が能の二人静を舞ったときに着た能衣装の裂と伝えられる。大名物「北野肩衝」「浅茅肩衝」の仕服に用いられる。類裂に、丹地の「橘屋金襴」がある。 |
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舟越間道(ふなこし
かんとう) |
名物裂の一。黄地と藍地に織り分け、境を紺と金、あるいは紺と白の太糸で区切り、両方に茶・縹・浅黄の縞模様を織り出した間道。船越景直(ふなこし
かげなお)あるいはその子の伊予守船越永景の所持に因む名という。『古今名物類聚』所載。船越景直(1540〜1611)左衛門尉・五郎右衛門。淡路の人。三好長慶の弟・安宅冬康に仕え、のち秀吉に仕える。
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舟越金襴(ふなこし
きんらん) |
名物裂の一。薄浅葱の三枚綾地に入子菱の地紋を表し、金糸で角龍紋を互の目に織り出した金襴。中興名物「音羽山」の仕服に用いられる。類裂に「永観堂金襴」「桑山金襴」「春藤金襴」などがある。 |
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古田緞子(ふるたどんす) |
名物裂の一。多色の色糸で織り出した格子の内に宝紋を織り出した緞子。 |
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亡羊緞子(ぼうようどんす) |
名物裂の一。萌黄または縹地に、薄茶の緯糸で蔓唐草と鳳凰紋を織り出した緞子。儒者三宅亡羊(みやけぼうよう)の所持に因む名という。大名物「岩城文琳茶入」に用いられる。三宅亡羊(1580〜1649)は、和州界の人。宗岩の子。名は島、号に寄斎・喜斎・江南等、亡羊は字。大徳寺へ入って儒者となり、藤原惺窩とも交友があったが常師はいない。後陽成、後水尾両帝に進講し、洛北鷹ヶ峰の地を賜わる。儒学を宗旦に教え、宗旦から茶事を習い、宗旦四天王の一人。『古今名物類聚』所載。 |
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細川金襴(ほそかわきんらん) |
名物裂の一。紺地に、入子菱の地紋と金糸で互の目に小唐花を織り出した金襴。細川紹幸の所持に因む名という。細川紹幸の伝については不詳。 |
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細川緞子(ほそかわどんす) |
名物裂の一。細川緞子と称する裂は数種類ある。濃萌黄地に茶褐色で二重蔓唐草紋と菊紋や小花紋を織り出した緞子。浅黄地に卍字を配した三重襷の地紋に木瓜の内に雨龍紋を織り出したもの。茶地に折入菱の地紋と菱形の内に雨龍紋を織り出したもの。いずれも細川紹幸の所持に因む名という。細川紹幸の伝については不詳。『古今名物類聚』所載。 |
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本願寺金襴(ほんがんじきんらん) |
名物裂の一。白地に金糸で二重蔓中牡丹唐草紋を織り出した金襴。東山金襴の一。西本願寺の打敷裂に用いられたことに因む名という。類裂に萌黄地一重蔓の「南禅寺金襴」、紺地の「高台寺金襴」がある。 |
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本願寺緞子(ほんがんじどんす) |
名物裂の一。浅葱地に、白で木目地紋に丁子形の分銅のような上紋を散らした緞子。 |
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本圀寺金襴(ほんこくじきんらん) |
名物裂の一。白の五枚繻子地に入子菱紋を表し、金糸で鴛鴦(おしどり)を段替りに向きを逆にして織り出した金襴。鴛鴦金襴の本歌とされる。本圀寺の日朗聖人へ授与された日蓮聖人の真筆の曼荼羅の表装に用いられているところからの名という。中興名物「三輪山」の仕服に用いられる。 |
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本能寺緞子(ほんのうじどんす) |
名物裂の一。紺地に、縹色の緯糸で青海波地文に花弁と宝尽しを散らした文様を織り出した緞子。紺地波唐花宝尽文様緞子。京都本能寺の所有であったことからの名という。大名物「油屋肩衝」「茜屋茄子」の仕服に用いられる。宋末元初の製。『古今名物類聚』所載。同裂に「三雲屋緞子」があるが、時代が異なる。 |
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